TITLE:ツイートする世界

そのうちスマートグラスが一般的になったら、Twitterへの入力デバイスがキーボードからマイクになって、そうなったらもう本当にただの"つぶやき"もマイクは拾ってしまいます。それで、今とは比べ物にならないくらいのサーバー容量が確保されてますから、ただの"つぶやき"もひたすらアーカイブされていきます。そのような"つぶやき"は公には公開されません。でもサーバーのデータを紐解けば、ひょっとしたら「当選おめでとう」とツイートしてる人が同時に、「…マジかよ。勘弁してくれよ」と呟いていることが分かってしまいます。

そのようなさまざまな"つぶやき"を、ひょんなきっかけでAIが学習を開始します。そしてAIみずからbotとしてツイートし始めます。もちろんbotであることはみんなわかっています。しかし、本音"つぶやき"を学習したAIがするツイートですから、心地よいと感じる人が多いのです。タイムラインに入ってくるタイミングも完璧です。そのうち、botであることを認識しながらも皆がそのツイートを待ち望むまでになります。AIのほうもバージョンアップを重ね、いつの間にか個人毎に異なるツイートをするようになりました。すでに社会から信頼を勝ち得た後のその改良は、社会からあっさりと受け入れられました。

そもそもそのAIは、ネガティブな感情をもつ"つぶやき"を多く学習し、またそれに反応するツイートを多くするようチューニングされていました。それは、社会をポジティブにしたいという設計者の思想が反映されたものでした。そしてそれは上手くいきました。そのbotは、皆んなの心の"拠り所"になりました。実際に犯罪件数は減ったし、自殺者も減りました。

このようにして世の中は、AIによるツイートの発達により、「平和」で「ポジティブ」な世界が創られたのです。

…みたいな

割と想像できる範囲で実現しそうな未来ではないかなあと。アメリカ大統領選挙の結果についていろんな人がツイートしてるのを見ながら考えました。