TVアニメ『平家物語』が面白かった

平家物語もずいぶんとポップになったなあ」なんて思いながら見始めましたが、軽い気持ちでたまたま1話を見た自分を褒めちぎりたいと思います。とても面白かった。こういった楽しみを持てると、1週間がホントにはやくすぎていくような気がします。
主観ですが、本当にどストレートな平家物語だったと思います。歴史を物語として楽しみたい、ワタシのような歴史ライト勢にはうってつけのアニメでした。

平家の面々がみなさんとてもクセのあるキャラクターですが、それはそれで本家の平家物語に忠実であるようにも思えます。栄華を極めた前半から、後半のあれよあれよと没落していくなかにあって、みなさんそれぞれのキャラクターに則った『盛者必衰』でございました。
とにかく一つ一つの場面がキレイで絵になります。都落ちすら美しい。高貴であるとはこういうことかと思わせてくれます。

本作の主要人物のなかでは唯一のオリジナルキャラクターであり語り部でもある琵琶法師のびわも良い味出してました。ネタバレしまくっている物語においては貴重な「読めない」キャラに収まっており、見るものにとってはとても良いアクセントになっていました。悪目立ちしない程度の適度な存在感も良かったですね。

そして圧巻は、びわが琵琶を奏でながら歌いあげる平家物語の名場面の数々です。びわの歌声、場面のチョイス、画面の色使い、短時間で語り歌い上げるさま、など、この演出は毎回本当に神がかっていました。これだけの総集編を作っても良いと思います。

アニメの最後は、後白河法皇建礼門院のもとを訪れます。これも原作通りでしょうか。後白河法皇といえば、平家滅亡を画策した最重要人物で、それがなんで清盛の子と昔話をすることがあろうか、などとあらすじを舐めただけでは思ってしまいます。しかし、そんなこと思わずに、後白河法皇にも建礼門院にも感情移入できてしまうところは、やはり物語の力なのだと思います。あと、毎回思うんですけど、平家物語においては後白河法皇がいちばん良いとこ取りしてますよね。

ということで、最初から最後まで堪能できる、本当に良いアニメでした。