TITLE:明けない夜

小説にできそうなひとネタを思いついた。
忘れないうちに触りだけ書いておこう。


道端で偶然、彼氏と別れた直後の人と出会い、瞬く間に意気投合した。初対面の人となんてたいへん珍しい。近場のドトールで時間を潰すことになった。相手はまだ情緒不安定なので、専ら私が愚痴を聞きつつ慰めるかたちだ。
口下手で語彙も少ない私だが、必死になって喋っているのが微笑ましく映ったのだろう、いつの間にかお互い笑顔になることが多くなっていった。そこで私はカッコつけてふと、
「明けない夜はないって言うしね」
と言う。
その瞬間、一瞬だが時間が止まったような感覚に襲われた。時間が止まったという経験をしたことはない。しかしそうとしか思えない。相手の表情も一瞬凍りついた、ように見えた。
その後は、比較的和気藹々とした雰囲気になり、お互いのLINEアドレスを交換して別れた。別れる頃には途中感じた時間停止のことはほとんど忘れていた。
その夜、自室のベッドに横になり、スマホの通知を確認するが、何もなかった。少し残念な気持ちになったが、自分からメッセージを送ることはしなかった。
いつの間にか入眠していたが、その後、私の夜は明けることはなかった。


どうだろうか。本の背表紙にこんなのが書かれていたら、十分に面白そうに感じるのではないだろうか。

この後の展開次第では、ミステリーでもホラーでもファンタジーでも、如何様にも料理できそうだ。なんだかワクワクしてきた。素晴らしい着想ではないだろうか。
空いていれば、ノートパソコンを持って近所のファミレスに行っているところだろうが、まあ仕方がない。
まだ日付は変わっていない。まだまだ夜は長い。明ける頃にはどんな物語が出来上がっているか、我ながら楽しみだ。