『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』を観た

子供の親になってからというもの、映画館で映画を観るといえば『アンパンマン』か『ドラえもん』しか記憶にない。
それくらい映画に関するいろんなものを諦めたとも言えるし、映画に対する思い入れなんてその程度だった、とも言えると思います。『アンパンマン』も『ドラえもん』も素晴らしいコンテンツで、まずハズレることはないのは分かっているのですが、まあでも「1人だったら『シン仮面ライダー』の方が観たいな」なんて思っちゃいながらの『映画ドラえもん』鑑賞です。

ということで、『ドラえもん のび太と空の理想郷』を観てきました。何かにつけて飽きっぽい現代っ子(我が子含む)よりは、アラフォー中年サラリーマンの方が楽しめたのではないかと思います。とても面白かった。折角なので、感想というか覚書というか。ネタバレしてないつもりですが、観てない人はこの先読まない方が良いでしょう。観た人も読まない方が良いかもしれません。

感想1
数年前に見たドラえもん映画(あえて副題は伏せる)は、「正しさなんて人それぞれだから、皆んなが100パー納得できる落とし所なんてないんだ」というのを前面に出していて、ああ最近はドラえもんもこんなんなのかあ、と思ったのを覚えています。ワタシが子供の頃に夢中になった大長編ドラえもんはもっと『勧善懲悪』してた気がしますが、ずいぶん趣が変わったのだなあと思ったものです。
しかしそれに比べると今回は、明確に『悪者』がいる体で話が作られているように感じました。(とは言え『勧善懲悪』感は薄いですが、)やっぱドラえもんはこうじゃないとね。ただ、テーマが副題の通り『理想郷(ユートピア)』で、どう料理しても現実世界のあれやこれやを連想してしまいがちで、なかなか扱いが難しそうでした。現実世界の対極にあるユートピアにしちゃうと現実世界がディストピアになっちゃうけど、ドラえもんの世界観的にはそれはイマイチですよね。そもそも『未来の世界の猫型ロボット』が存在する世界における『理想郷(ユートピア)』とは一体なんなのか、なんて考え出したら、全部茶番に見えてくるわけです。
…ああ、なるほど、だから最終的にはあそこに収斂されるわけか…とか考えながら見てる時点で純粋に楽しめてない気もしてきます。『悪者』が出てきたとて、完全な『勧善懲悪』ではない時点で、こういったモヤモヤ感を抱くのは致し方ないところでしょうか。

感想2
映画ドラえもんといえば、のび太とその仲間たちによる冒険活劇であって欲しいところです。それぞれの個性を活かしたチームワークで敵を凌駕して欲しい。そんな偏見持ちにしてみると、今回の映画はほんのちょっとだけアクション要素が足りなかったかなー。のび太もっと射撃の腕を活かして活躍してほしい。ジャイアンもっと剛腕なところを見せて欲しい。スネ夫ジャイアンが背中を任せるに足る人材であってほしい。シズちゃんはもっとのび太を後方支援できたのではないか。
そんな期待はずれ感は、誤差と言えば誤差だけど。あと上にも書いたように、テーマが(捉えようによっては)少し重めなので、しょうがないと言えばしょうがないのかなーとも思うところです。

感想3
とはいえ、飛行艇とか飛行機とかがでてきて、のび太パーティがそれっぽいコスチュームで搭乗してビュンビュン飛んでて、これは良かった。ロマンですね。もっとシューティングしてくれても良かったくらい。

感想4
オリジナルキャラたちも、のび太パーティに負けないくらいの安定の存在感を醸し出していました。肝心のキャラ付けも良かったですね。ソーニャとマリンバが主役のサイドストーリーを作って欲しいくらいです。

感想5
タイムパラドックス(っていうほどでもないレベルかもですが)的な要素も少し入っていて、なかなかよい趣向だったと思います。
うちの子供達は理解できていないようでしたが…。

感想6
映画ドラえもんは自分が子供の頃から基本変わらずにあるコンテンツです。この事実は、絶対的な安心感につながっています。そしてその安心感がワタシにもたらす感情を一言で言えば、『ノスタルジィ』というやつです。さらにいえば『懐古主義』かもしれません。同じところに位置付けできそうなコンテンツは思い当たりませんね。当然人それぞれですが…。
なので個人的には、ドラえもんはずっと続いていて欲しいものです。

感想7(今までのと被る部分多いですが)
のび太とその仲間たちを主人公に据えて物語を描く時点で、多かれ少なかれ「テーマ性」というものが出てきてしまう気がします。むかしは(子供の頃は)そんなこと思わなくてただただ楽しめたわけですが、これはたぶん、コンテンツの中身が変わってしまったというより、受け手(ワタシ)自身がドラえもんを純粋に楽しめなくなったということかなと思います。子供の頃に見たドラえもん映画を見返してみたくなってきますね。

感想8
ラピュタとかナディアとかを思い出させるシーンがあった。わざとなのかな。オマージュってやつ?
きっともっといろんなオマージュがあったものと想像します。ニヤッとできるポイントがあるのは良いことです。

以上、感想メモというか覚書、おわり。